去年の12月の事だった。岐阜に戻った迫田幸一の様子がおかしいという・・・。
そんな風の便りに長年に渡り付き合って来たからこそ解る
奴の性格から、なにか胸騒ぎめいたものを感じ、岐阜に車を走らせた。
相変わらず、改めて迫田の貸住宅の前に立っていつも感じるのは “今時、こんなにもボロボロの長屋が存在しているのか?”とため息が出る様な有様である。
ともあれ、玄関のドアを叩き「俺だ!」と呼ぶが返事はなく鍵がかかっている・・・
留守なのか? と思いながらも一応、居間側に廻り、古びたサッシ戸を開けてみるといきなり迫田のベッドが目の前に現れ、眠っていた迫田が驚きながら上半身を起こして
「おぅ!どうした・・・」っと こっちを向いた。
その時の迫田の風貌たるや、あまりの惨たんたる状態をどう表現してよいやら・・・