塗り壁の力

数年前まで、いわゆる刑務所の出入りを繰り返し、
    その長い人生の大半以上を過ごしてしまった人物が、
        およそ4年間に渡り、この自分につかえていたことがある。

関東出身、生まれながらの天涯孤独。

その昔の、その道とやらの厳しい修行や、
         刑務所で徹底的に仕込まれてきた礼儀作法。

言葉使いや、折り目正しさは見習うべきものがあり、

何よりも清掃と整理整頓が、
     身に染み付いているのが、その人生を物語っていた。

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空をみあげて

子供の頃の自分を思い出すとき
    情けないくらいに、泣いて、震える

臆病な人間だった事が、
         今でも強い記憶として残っている。

けれど、表向きは、元気でわんぱく、
         取っ組み合いのケンカは、頻繁にしていて

≪ あいつとやり合うのは、イヤだ! ≫
              と思われるくらい
        
       
        激しい気性も、持ちあわせていたように思う。

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歓待の西洋室物語

《 もてなしの館 》からの招待状は、めったに発行されることはない。

これまでも幾度となく、
    その噂を聞きつけて、たずねてくる人はいたけれど、

僕はいつも、にこやかに話しながら、
   その最後には、なんだかんだと、
理由をつけて断ってしまうのである。

実は、この館には、
いくつもの名前があって、
    僕とその仲間たちは、

何日もかけて、やっと出来あがった部分も、
              もう一度やり直そうと、壊してしまったり、
   
ここは考え時だと言って、
途中で中断してしまったりを繰り返しているから、
    

みんなで《 完成することのない館 》だと言って
笑いあったりしている。

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