NY・真夜中の心模様

あと2日
そんなニューヨークの真夜中

やっぱり行こうと
      歩きだした


語りかけるようなiPod
ピアノの音。

この街ではじめて買った帽子
社会にでてはじめてかぶった帽子で

白い息が流れてゆく

ゆがんだ歩道の水溜りの
吹き溜まったゴミと薄氷に
擦れたマンホールに
ネオンがぼやけて

いま、折れた黒い傘をまたいだ・・・。

冷えた向かい風が、
額との隙間から入り込み

帽子から漏れるわずかな温かさが
耳元から逃げてゆく

逃げてゆく温かさは、たぶんこの街以前の自分。

向こうから一歩づつ近づいてくる影と
            無言ですれ違う

振り向くこともなく
冷たくて痛くなった指を息で温め
真夜中を、まだ歩く

ここでは誰もが仲間で、誰もがひとり
群衆の街の、真夜中の孤独

唯一の帽子と、
いまの自分自身も
この街までの自分とも

数日後には、

まったく違う自分に変わるのだろう

あの夜、
知らず踏み越えた、
ニューヨークの薄氷と黒い傘

それは、

ひとつの転機が流れていた夜だった。

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