淀む疑心暗鬼

建物がここまで
組み立てるものに変わって

質より安さになって
感覚より機能が選ばれて
家は作るものから買うものになり

地元から情感の壁は消え
俺たちの仕事の場はなくなった。


こんなにも時代が変われば
やがて仲間はバラバラになってしまう

俺たちは求められるなら、
何処へでも行くしかなかった。

世の中が
最低限をクリアしながら
どんどん薄く均質になっていくほど
俺たちはどんどん小さく濃くなった。

求めている人がいるなら
どんなに遠い地でも働きつづけた。

そうして、戻るたびに
地域はますます薄く均質になっていて、

人とすれ違い、
大切な人が離れてゆくたび、
そして
どんより淀んだ疑心暗鬼に。

戻るという意味
場所の意味が薄れていった。

俺たちは何も変わらない

求められる人と場所を選ばない。

そうしていつしか
小さくて濃い
俺たちの“居場所”を作るようになっていた。
戻るべき自分たちの“居場所”のために・・・

そして

自分を知らない者が
自分を知らない者に
自分も知らないことを
自分が知らないところで話している。

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